彫刻の森美術館遠くを見つめるまなざしを持った静かな佇まいの人物像で知られる彫刻家 舟越桂。
生涯を通じて人間とは何かを問い続けた彫刻家の作品の変遷とその創作の源となる視線に迫ります。
聖母子像や性別を感じさせない静謐な空気をまとった人物像は、その後、人間という存在の大きさや不思議さを象徴する山のようなイメージの人物像や、「祈り」の思いや行為に人間の姿を与えたという考えに至った「水に映る月蝕」(2004年)、そして東日本大震災がきっかけとなって制作された「海にとどく手」(2016年)、さらに両性具有の身体と長い耳を持った、人間を見つづける存在としての「スフィンクス」へ辿り着きます。一貫して人間の存在をテーマにしながら、様々に変容を遂げる作品を舟越は自ら「心象人物」と名付けました。
「手と目と頭を使って人間の像を作ることで、思考だけでの理解を越えて、人間を把握することに変わっていかないだろうか。その時間のつみかさねで、私も人間について考えていると思いたい。」
ーー『言葉の降る森』角川書店
具体的には目に見えない、しかし現実に人間がその回りに抱える問題、祈りや思いなどに人間の姿を与えながら、人間について考えることで舟越は「人は皆それぞれ、たった一度の人生を生きていく初めての存在なのだ」ということを証明するための物語を紡ぎ出そうとしていたのではないでしょうか。
本展が、自分と出会う場として、自分と向き合う時間として、皆様に届くことを願っております。
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