戸田沙也加《沈黙と花》2025年 発色現像方式印画 作家蔵

「アーティストとひらく 戸田沙也加展 沈黙と花」

横浜美術館
11月3日終了

アーティスト

戸田沙也加
戦後80年を迎える2025年、横浜美術館では、アーティスト戸田沙也加(とだ・さやか、1988年生まれ)とともに、今なお私たちにとって大きな課題であり続ける争いや共生の可能性について考える小企画展を開催します。
1945年の夏、原爆投下により焦土と化した広島は、「今後75年間は草木が生えない」と言われました。しかし、それから約1ヶ月後の9月、爆心地から約800m離れた場所でカンナの花がひっそりと咲く姿が見つかります。
カンナは、真夏の炎天下に大きな葉の間から鮮やかな花を咲かせる、中南米原産の花です。当時、朝日新聞のカメラマンであった松本栄一は、このカンナの花を広島で撮影します。この写真は戦後、広島平和記念資料館において希望のシンボルとして語られるようになりました。
戸田沙也加は、画家としてキャリアをスタートさせますが、ここ数年は写真や映像インスタレーションなどの技法を使い、その世界観を表現しています。戸田は、コロナ禍の2021年より、カンナの花と、ロシアから日本に移住した友人をモチーフに作品を制作してきました。このふたつのモチーフは、作家がいまの日本で「平和」や「異なる地から海を越えてこの島国に根付き自生するもの」を考えるきっかけになりました。作家は次のように記します。

東京の街並みをカンナの花と共に歩き、絶えず移り変わる景色に力強く咲き誇るカンナを忍ばせ記録する。終わりのない悲しみや、叫び、絶望に耳を傾け、愛する友人を想いながら、私なりの平和を願うささやかなデモを行う。

2025年現在、世界は冷戦やコロナ禍を経て、新たな対立、紛争に直面しています。本展で戸田は、横浜美術館コレクションの中から、二人の画家の作品に着目しました。ひとりは、北海道に生まれ、戦前に東京で美術文化協会に参加した後、戦地へと招集された画家、小川原脩です。もうひとりは、カタルーニャに生まれ、第一次世界大戦、スペイン内戦、第二次世界大戦と、多くの戦争を目の当たりにした画家ジョアン・ミロです。戦争に翻弄されながらも、それぞれの立場と姿勢を貫き作品を作り続けた二人の画家に対する思いをもとに、戸田はこの展覧会で、カンナの花と、ロシア人の友人を再びモチーフにした新作を発表します。
この展覧会は、同時開催のコレクション展「平和であることへの、控えめななにごとかを」と連動するかたちで、コレクション展の1室(ギャラリー5)で開催します。

スケジュール

開催中

2025年6月28日(土)〜2025年11月3日(月)あと39日

開館情報

時間
10:0018:00
休館日
木曜日
入場料一般 500円、大学生 300円、高校生・中学生 100円、小学生以下 無料
展覧会URLhttps://yokohama.art.museum/exhibition/202506_openingdialogues/
会場横浜美術館
https://yokohama.art.museum/
住所〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
アクセスみなとみらい線みなとみらい駅3番出口より徒歩3分、JR根岸線・地下鉄ブルーライン桜木町駅より徒歩10分
電話番号045-221-0300
関連画像

各画像をタップすると拡大表示します

0件の投稿

すべて表示

まだコメントはありません