小林孝亘 「Hand」 2025 91 x 72.7 cm oil on canvas

小林孝亘 「さようなら、こんにちは」

西村画廊
7月8日開始

アーティスト

小林孝亘
西村画廊では、2025年7月8日(火)から8月9日(土)まで、小林孝亘のペインティング4点とドローイング16点の計20点の新作による展覧会 『さようなら、こんにちは』を開催いたします。

1960年東京に生まれた小林孝亘は、1986年愛知県立芸術大学美術学部油画科を卒業後、外界との接触を自己防衛的に避ける自身の投影として9年近く描き続けた「潜水艦」の時代を経て、器や枕、森など普遍的で日常的なものを題材に、光に重点を置いた絵画を制作してきました。常に時流の動向から一定の距離を保ち、地道に自身の内側を手探りしながら本質的な表現を志向してきた小林の作品は、主に正面から見た左右対称の構図で、我々が普段目にしているごくありふれたものが、奇を衒わない丁寧な筆触で描かれているのが特徴的です。それらの絵画は、見慣れたものが潜在的に持つ非日常性を浮上させ、ひいては「存在」していることの不思議を観者に意識させる、稀有な魅力を有しています。換言すれば、ある対象が象徴的および匿名的に描写されたその画面には、たとえば生きるために眠りを繰り返し死に至る人間の「生/死」の暗喩として枕を描いた《Pillow》シリーズに顕著なように、表裏一体の現象が静かに同居しており、「存在」というこの世界の神秘が輝かしく伏在しています。小林は、当画廊で1996年から継続的に新作展を開催している他、国立国際美術館(2000年)、目黒区美術館(2004年)、横須賀美術館(2014年)、豊田市美術館(2022年)での個展をはじめ、国内外で多数の展覧会歴があります。

本展では、「森」と「空」を題材にした新作20点を発表します。「森」は小林にとって“もう一度生まれ変わる”場所、すなわち「生」であり、一方「空」は、どこまでも続く天上を想起させることから、「死」を連想させるモチーフです。
前回(2023年)の当画廊での個展『うつわたち』以後、“もう一度森に戻る”を主題に次の展覧会の制作準備を進めていた矢先、小林は病を得て、手術と入院を経験しました。その後、“この先絵が描けるかどうか”という不安の中で、リハビリとして小さなノートに自らの手や猫の姿を描き始めた小林は、やがて“森へ戻る”イメージをドローイングできるようになり、無事制作に帰還することができました。本展で発表される「森」と「空」の絵画にどこか現実ばなれした気配が漂うのは、そうした小林の心象(森=生/空=死)の反映であり、そしてまた、「さようなら」から「こんにちは」へと再び「生」=「絵画制作」に帰ってくることができた心境の表れでもあるといえるでしょう。                                                 

1年半振り18回目となる当画廊の小林孝亘展に、どうぞご期待ください。皆様のご来廊を心よりお待ちしております。

スケジュール

2025年7月8日(火)〜2025年8月9日(土)

開館情報

時間
10:0018:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日
入場料無料
展覧会URLhttps://www.nishimura-gallery.com/小林孝亘 さようなら、こんにちは/
会場西村画廊
http://www.nishimura-gallery.com
住所〒103-0027 東京都中央区日本橋2-10-8 日本橋日光ビル9F
アクセス東京メトロ銀座線日本橋駅B4出口より徒歩2分, 東京メトロ東西線日本橋駅C4出口より徒歩2分, 都営浅草線日本橋駅D4出口より徒歩2分, JR東京駅八重洲北口より徒歩8分
電話番号03-5203-2800
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