その壮大な問いの本質を追い求め、世界各地の伝統的な衣服をまとい生きる人々の日常を、写真家・高木由利子が30年間にわたり撮り歩いた〈Threads of Beauty〉シリーズ。本展では、その集大成の中から精選した100点以上の作品を出展します。「Bunkamuraザ・ミュージアム」を会場に、京都・二条城で開催したKYOTOGRAPHIEでの展示(2023年)に続き、高木由利子との二度目のコラボレーションとなる建築家・田根剛の会場構成により、作品が内包する世界観を体感できる時空を超えた場が立ち上がります。
衣服や人体を通して、自然界の一部としての「人の存在」を見つめ続ける高木の試みの中でも、本展で展覧する〈Threads of Beauty〉はとりわけ長期間に及ぶ根幹的なプロジェクトです。日本における着物のように、世界各地の伝統服が日常生活の場から姿を消しつつある現状を、高木は惜しみつつも、現代の生活様式へと移行する上での自然な営みとして受け入れています。何より高木は〈Threads of Beauty〉を民俗史的な記録としてではなく、被写体となった人々の文句なしの「格好良さ」に魅せられて撮影しています。「格好良さ」の追求は、すなわちアイデンティティの探索でもあり、それは渋谷であれ、世界のどこであれ、さらには時代をも超えるいわば永遠の命題とも言えるでしょう。本展を通じてその普遍性を感じ、再考する機会となりましたら幸いです。
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