京都の旧邸宅で古今東西、美の“船旅”へ。「美術館で大航海 ! ~コレクションをたどって世界一周~」(アサヒグループ大山崎山荘美術館)レポート

日本、朝鮮、中国、中近東、欧米……1000件を超える収蔵作品から、国・地域別に古今東西の100件超を展示。会期は9月20日〜12月7日(撮影:中島良平)

「美術館で大航海! 〜コレクションをたどって世界一周〜」会場風景

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来年2026年に開館30周年を迎えるアサヒグループ大山崎山荘美術館で、「大航海」をテーマにコレクションを巡る「美術館で大航海! 〜コレクションをたどって世界一周〜」展が開催されている。会期は12月7日まで。(※作品はすべてアサヒグループ大山崎山荘美術館蔵)

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“旅”の出発点はイギリスと民藝

「まだ公開したことがない作品もあるため、30周年へ向けて改めてコレクション展を行うことにしました」と語るのは、企画を担当した野崎芙美子学芸員。107件に及ぶ展示作品のうち、初公開のものが17件を数えるという。公立美術館のように明確な方針に従って作品収集が行われたわけではなく、1000件を超えるという作品数を誇るコレクションを紹介するために設定されたテーマが、「大航海」だ。展示を地域や国別にグルーピングし、地図を辿るように展示を順に追っていく構成になっている。

展示は、イギリスからスタートする。イギリスから来日し、職人による日常の生活道具に見る「手仕事の美」を説く民藝運動に関わったバーナード・リーチの作品や、リーチがその技術を再発見し、影響を受けたという18世紀のイギリスの陶器などが展示されている。展示構成について、野崎学芸員は続ける。

アサヒグループ大山崎山荘美術館 外観
イギリス スリップウェア鳥紋鉢 1769

「まず、この大山崎山荘を100年ほど昔に建てた実業家の加賀正太郎は、イギリスに遊学経験があり、その経験からこの建物をチューダーゴシック様式の要素を取り入れて建てました。そして、この建物の保存再生と活用を目指して、アサヒグループが購入して1996年に美術館として開館したのですが、グループの前身である朝日麦酒株式会社(現アサヒグループホールディングス株式会社)初代社長の山本爲三郎が民藝運動を支援していたこともあり、当館では、民藝に関わる作品を多く所蔵しています。そこで、最初の展示室のテーマをイギリスにしました」

野崎芙美子学芸員
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