公開日:2025年9月4日

「美術館 学芸員の昼メシ」#6|静岡県立美術館学芸員 貴家映子さんおすすめ!地元の食材が光るご褒美ランチ #美メシ (静岡県静岡市)

美術館周辺のグルメ情報をお届けする連載6回目! 学芸員や美術館スタッフが「行きつけのお店」を教えます

美術館周辺の美味しいお店を教えて!

アート好きには食好きが多い(気がする)。遠出して美術館に行くなら、美味しいものも楽しみたい。逆に、美味しいものを目当てに訪れた場所で、美術館にも立ち寄りたい、ということもあるのではないでしょうか。

本シリーズ「美術館 学芸員の昼メシ」(略して #美メシ)では、全国各地の美術館で勤務する学芸員やスタッフの方々に、「うちに来たらここに寄れ!」という、とっておきのお店を教えてもらいます。ランチに限らずお茶や夕飯におすすめのカフェやレストランも登場するかも。
今回は静岡県立美術館 学芸員の貴家(さすが)映子さんが登場です。【Tokyo Art Beat】

*貴家映子さんが企画を担当する「これからの風景 世界と出会いなおす6のテーマ」展のレポートはこちら

地元も!遠くも!美食のセレクトショップ「KO MART fine 静岡草薙店」

手前から、清水の居酒屋「ブンブン山」の海苔弁(780円)、自社ブランドR-beansのエスニックスイーツ モーモーチャーチャー(480円)、Fine Deliの枝豆の茶碗蒸し(300円)、三ヶ日青島みかんジュース(298円)、島田茶(138円)。「じゅかぞう」のぬいぐるみ(1500円)(左)と若冲手ぬぐい(1380円)は、美術館ショップにてお求めください 撮影:筆者

丘の中腹に建設された当館は、豊かな自然が自慢できるいっぽう、日常的に「昼メシ」をいただけるような飲食店とは縁遠いのが正直なところです。そんなわけで、タッパー入りサラダとラ○チパックというのが定番ランチとなっている筆者ですが、時折のご褒美メシを調達しに通うのが「KO MART fine 静岡草薙店」です。

「KO MART fine」は、静岡県榛原(はいばら)郡吉田町に本社を置くご当地スーパー「KO MART」の高級ライン。コロナ禍で始まった近隣の飲食店によるお弁当販売が定番化しており、地元名店のランチをその日の気分で選ぶことができます。お惣菜部門「Fine Deli」からも洋風、和風、エスニックのひねりの効いたメニューが並びます。体に優しい原材料にこだわった自社ブランドの和洋菓子が山盛りにディスプレイされ、思わず手が伸びてしまいます。県内と全国各地からジャンルを超えて選び抜かれた品々が一挙に楽しめるのは、このお店ならではの贅沢です。

KO MART fine外観 撮影:筆者

美術館からは歩くと15分ほどですが、最寄駅や美術館からレンタサイクルも利用できるようになりました。(残念ながら富士山は見えませんが)近隣の芝生広場や、市街を見渡せる丘の上のベンチでお昼を召し上がるのもオススメの過ごし方です。

KO MART fine 静岡草薙店
🗓️
月〜日
📍静岡県静岡市駿河区中吉田41-15
🐾静岡県立美術館から徒歩約15分
🚃静鉄電車 「県立美術館前駅」出口から徒歩約3分
公式サイト
Map

県内自慢の食材を楽しむカジュアルランチ&スイーツ「RODIN Terrace」

ボリューム満点のスイーツや手軽なミニピザも。手前が有機抹茶のアフォガート チーズケーキ(750円)、奥がフォカッチャピザ(950円)

ジョージ・リッキーによる動く彫刻を窓外に望む、ゆったりとした店内で、パスタメニューを中心としたカジュアルランチが楽しめるのが、静岡県立美術館内にあるレストラン「RODIN Terrace」です。地元の食材にこだわった展覧会ごとの限定メニューや、お抹茶を使ったスイーツなど、静岡らしさも味わえます。ロダンの代表作「考える人」が伝票代わりになっているところも、美術館での楽しい思い出になるでしょう。

RODIN Terrace
🗓️
火〜日(祝日の場合翌日)
📍静岡市駿河区谷田53-2
🐾美術館から徒歩0分(美術館内)
🚃JR草薙駅から徒歩約25分またはバス約6分、静鉄電車「県立美術館前駅」から徒歩15分またはバス約3分
公式サイト
Map

静岡県立美術館へ!

静岡県立美術館 撮影:筆者

静岡県立美術館では、現在、「これからの風景 世界と出会いなおす6のテーマ」展を開催中です。美術館が約40年にわたって収集してきた17世紀以降の風景画・風景表現を、「記憶/鑑賞/観光/場所/環境/対話」という6つのテーマでご覧いただいています。クロード・ロランなどオールドマスターから印象派のモネ、広重の浮世絵や中村岳陵などの日本画、中澤弘光や吉田博などの日本近代洋画、そしてジュリアン・オピーにアンゼルム・キーファーなどの現代アートや写真まで、時代とジャンルを超えた作品を一堂にご覧いただける貴重な機会です。

最終日の9月23日(火・祝)には、例年11月に行われているロダンマルシェを特別開催します。今回はご紹介できなかった地元グルメの名店も、美術館前の広場に集結!しかもロダン館と収蔵品展は入場無料に。展示とグルメを一挙に楽しみたい方には絶好の機会です。

【次回】

貴家さんが次の案内人に推薦するのは、豊田市美術館の鈴木俊晴さん。どんなグルメが飛び出すのか、どうぞお楽しみに!

貴家映子

貴家映子

静岡県立美術館学芸員。愛知県一宮市出身。名古屋大学大学院文学研究科美学美術史学専攻修了。専門はフランス近代美術。三重県立美術館学芸員、箱根ラリック美術館学芸員を経て、2021年より現職。風景画・風景表現の過去を振り返りつつ、現代と未来における可能性を模索し続ける。これまでに「ア・ターブル!―ごはんだよ!食をめぐる美の饗宴―」(三重県立美術館/2014年)、「パラランドスケープ “風景”をめぐる想像力の現在」(三重県立美術館/2019年)、「ルネ・ラリックの水のかたち」(箱根ラリック美術館/2021年)などを企画。