「シアターコモンズ'26」メインヴィージュアル
演劇の「共有知」を活用し、社会の「共有地」を生み出すことを目指し、2017年からスタートしたプロジェクト「シアターコモンズ」。10周年となる今回が、2月22日から3月8日まで都内各所で開催される。ディレクターを相馬千秋(アートプロデューサー/NPO法人芸術公社代表理事)が務める。

2026年のテーマは「Translating Commons - コモンズを翻訳する」。クリエイティブパートナーに迎えるのは、翻訳者集団Art Translators Collective(ATC)だ。ATCはシアターコモンズ全10回に欠かさず参加し、キュレーション・コンセプトやプログラムの翻訳、トークやワークショップの通訳を担ってきたが、「参加作家」としてクレジットされることはなかった。10年の活動を振り返ると、彼らこそがシアターコモンズの理念を体現してきた存在と言える。
そんなATCが今回掲げるのは「翻訳の葬式」という挑発的なタイトルだ。翻訳とはたんなる言語間の変換ではなく、ある現実を別の現実へとうつしかえる創造行為でもある。AIがそれを一瞬で生成し、人間らしさの証であるズレや躊躇いさえも模倣しうる近未来において、私たちはどのように「人間であること」を証明できるのか。今回のシアターコモンズは、「人間の翻訳(創造行為)は死ぬのか?」というATCからの問いを出発点に、AIとの拮抗が不可避となる時代の演劇のコモンズを議論する。