会場風景より
旅するおじさんに働くおじさん、美味しそうにごはんを食べるおじさん……。江戸の時代を生きた、名もなき、しかし味わい深い“おじさん”たち。彼らが主役の展覧会「浮世絵おじさんフェスティバル」が開催される。
会場は東京・原宿の太田記念美術館。会期は1月6日~3月1日(前期 1月6日~2月1日、後期 2月5日~3月1日、前後期で全点展示替え)。

近年、歌川広重を中心に、風景画などに小さく描かれた味わい深い人物たちの魅力を紹介する展覧会が各地で開催されている。本展は絵の脇役にとどまらない、個性豊かで愛嬌溢れる風景画の中のおじさんたちに注目するもので、昨年に中山道広重美術館で好評を博した「浮世絵おじさんフェスティバル」展のコンセプトをもとに、ほかの浮世絵師も加えて新たに構成。前後期あわせて150点を超える作品が登場し、多彩なおじさんたちの姿を楽しむことができる。
太田記念美術館では2023年に「広重おじさん図譜」を開催しており、約3年ぶりの“おじさん展”だ。企画を担当した同館の渡邉晃は、「3年前の展示ではSNSの反応の良さが印象的だった」とその反響を振り返る。「投稿をすればたくさんの”いいね”が付くので楽しくて仕方がなかった」とぶっちゃけ話も飛び出しつつ、”おじさん”にフォーカスして浮世絵を見ることで、新たな発見が多々あるとその魅力を語る。
「広重の浮世絵では、風景の背景にいる人物が個性豊かで、誰ひとりとして手抜きがありません。おじさんたちはいわゆるモブ、背景の人物ですが、そこに注目することで、(鑑賞者は)絵をより詳細に見るようになる。
またそうした細部に絵師の個性が現れています。浮世絵というのは、その時代ごとの流行の変化を受けて、画風も変わっていきます。浮世絵師は普通、(美人画の人物など)メインのモチーフに注力しますが、風景画の背景の人物は、そうした流行とは一歩離れて、リラックスして描かれているように見える。そうした描写に、絵師たちの日頃からの観察力や、(技量の)蓄積が現れます」(渡邉)
