公開日:2025年11月22日

ミナ ペルホネン「つぐ minä perhonen」(世田谷美術館)レポート。デザインの奥にある「つぐ」の思想と仕事に触れる

会期は11月22日〜2026年2月1日。創設30周年を迎えたブランドの新たな展覧会

「つぐ minä perhonen」会場風景

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創設30周年。「せめて100年続くブランド」を目指す

2025年に創設30周年を迎えたファッション・テキスタイルブランド「ミナ ペルホネン」の新たな展覧会「つぐ minä perhonen」が、11月22日から東京・世田谷美術館で開催される。会期は2026年2月1日まで。

「せめて100年続くブランド」との想いを掲げ、手仕事や職人との協業を大切にしながら、人々にとっての「特別な日常服」を作り続けてきたミナ ペルホネン。1995年にデザイナー皆川明が創設した「minä」を源泉とし、2003年にはブランド名に「perhonen」が加わった。フィンランド語で「minä」は「私」、「perhonen」は「蝶」を意味する。

これまで1000を超えるテキスタイルデザインを制作し、服だけでなくインテリアや様々なプロダクトへと展開してきた同ブランド。本展では、暮らしの中に長く息づき、時とともに深みを増すデザインを積み重ねてきたミナ ペルホネンのものづくりのあり方を、「つぐ」をキーワードに紹介する。多数のテキスタイルやその原画、作品化された服飾、暮らしを彩るプロダクトなどを展示するほか、ブランドを支える技術者たちの仕事にも光を当てる。

美術館のエントランスもミナ ペルホネンのテキスタイルをあしらった展覧会仕様に

「つぐ」というテーマについて創設者の皆川明は次のように語る。「デザインでも、ひとつのデザインから次のデザインへ派生したり、工場でもひとつのアイデアから職人さんや素材、様々なものが“つがれて”いく。『つぐ』には継承だけでなく『注ぐ』という意味もあります。様々な『つぐ』がひとつのものづくりのなかにあること、私たちが『つぐ』ということから何を感じ、日々ものづくりを行っているかを見ていただきたい」

さらに2021年から代表を務めるデザイナーの田中景子は、「今回は、『つぐ』という言葉のなかから継承だけでなく、告げること、注ぐこと、つなぐこと、色々な『つぐ』が想像できる展示にしたいと考えた。みなさんが見た後に、私にとっての『つぐ』ってなんだろうと自分に問うような感情を持ち帰っていただけたら」と呼びかけた。

左から、皆川明、田中景子
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