秋の涼しい風が肌に心地よいこの季節。東京では、無料で楽しめる魅力的な展覧会が多数開催されている。今回は、アーティストコレクティヴ・Chim↑Pomの個展から、石岡瑛子のデザイン展、シャネルの芸術的な手仕事に触れる展覧会まで、無料で気軽に訪れることができる展覧会を7件セレクトした。
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*各展覧会の会期・内容は予告なく変更になる場合があるため、お出かけ前には公式ウェブサイトをご確認ください。
Chim↑Pom from Smappa!Groupは、現代社会のリアルに全力で介入し、ユーモラスでありながら切迫感を帯びたプロジェクトを実践、作品を制作・発表している、日本を代表するコレクティヴのひとつ。本展では、都市のインフラに口を開けるマンホールや下水の穴といった多層的な「穴」と、宇宙デブリなどの「屑や瓦礫」を、社会や宇宙の周縁に押しやられた「不要」と「空白」のメタファーとしてとらえ、「不要」や「欠如」「不可視」が孕む想像力のポテンシャルを批評的に提示する。
会場:ANOMALY
会期:10月11日〜11月9日
闇市とは、戦時中の「建物疎開」政策や空襲によって生まれた空き地を、暫定的・時限的に占拠して展開された臨時の市場。同館が位置する新宿は、かつて闇市を起源として新興の盛り場へと発展した都市であり、東京の街並みにはその痕跡や名残をいまなお見ることができる。本展は、戦後80年という節目において、闇市を単なる「不法占拠」というイメージを超えて、猥雑なまでの活力を育んだ都市空間の形成プロセスという観点からとらえ直す。
会場:高島屋史料館TOKYO
会期:9月13日〜2026年2月23日
東京の都市空間を活用しながら国際的なアーティストの作品を展示する都市型芸術祭。今回のテーマは「庭 /Garden」。フランスの庭師・思想家ジル・クレマン『動いている庭』にインスピレーションを受け、「庭」を写真表現によって都市空間に持ち込む。5名のアーティスト(鈴木麻弓、千賀健史、南川恵利、宮地祥平、THE COPY TRAVELERS)を紹介するグループ展、MEP(パリ)が推進する新進作家と実験的な写真表現の発信プラットフォーム「STUDIO」と連携した国際共同キュレーション企画、「I’m So Happy You Are Here|写真集でたどる日本の女性写真家のまなざし」展などを展開する。
また写真フェア「T3 PHOTO ASIA(フェア)」が10月11日〜13日に開催される。
会期:東京・八重洲、日本橋、京橋、銀座エリアの屋内、屋外会場
会場:10月4日〜10月27日
広告、舞台、映画など、表現のジャンルを超えて世界的に活躍したデザイナー、石岡瑛子(1938〜2012)。1961年、資生堂に就職し、デザイナーとしてのキャリアをスタートさせた石岡は、前田美波里を起用したポスターで意志と自信に満ちた新しい女性像を提示し、世間に衝撃を与えた。本展は、北九州市立美術館からスタートし、国内5館を巡回した展覧会「石岡瑛子 I デザイン」の一部を縮小再現して紹介するもの。いまなお熱を放つビジュアルと作家自身の言葉に、時代を超越するデザインの生命力を体感して欲しい。
会場:MMM(メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド)
会期:9月5日〜2026年1月10日
次世代を担うキュレーターを育成する「Hasegawa Curation Lab.」とのコラボレーション企画の第2弾。今回は、いまアートとテクノロジーが交差する臨界点において、もっとも注目を集めるアーティストのひとり、ソフィア・クレスポと、彼女がアーティスト・デュオとして活動するエンタングルド・アザーズの作品が紹介される。ヴィジュアル、彫像、デジタルインスタレーションなど複数のメディアを横断しながら織りなされる展示空間は、「人間が自然をどう見たいと願っているか」の深層を映し出し、私たちの認識のあり方をも問い直すだろう。詳細はニュースをチェック。
会場:シャネル・ネクサス・ホール
会期:10月4日〜12月7日
芝浦工業大学では2022年より、世界で活躍する建築家の展覧会を開催している。第4回目となる本展では、大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーを務めた藤本壮介にフォーカス。23年に手がけた太宰府天満宮仮殿について、藤本が込めた思いや、作品の完成に至るまでの試行錯誤の過程を、図面や模型、写真を通して辿るような機会となった。
会場:芝浦工業大学 豊洲キャンパス
会期:9月26日〜10月26日
日本がふたつの大きな戦争を経験した昭和期は、日本画にとっても大きな変化を迎えた時期だ。今回紹介される作家に直接的なつながりはほとんど無い。しかし、戦禍においてなお新しい表現を探求し、現状への抵抗を示し続けたという点から、この4名をとらえ直すことは可能である。木下の《覚山尼》、小畠の《突進》の緊迫感、藤田作品の圧倒的な存在感からは、戦時下で絵を描くことの厳しさが伝わり、谷口の復古的な小品や能への傾倒からは、戦時体制の中で保とうとした個人の思いが伝わる。4名の作品は現存していないものも多く、出品作はそのほとんどが都内初公開。ぜひこの機会に目撃したい。
会場:実践女子大学渋谷キャンパス
会期:9月27日〜11月22日
シャネルの「メティエダール(芸術的な手仕事)」を支える工房が集まるパリの施設、le19Mによる特別展示。2023年のセネガル・ダカール以来、2回目の国際プロジェクトとなる今回の展示は、森アーツセンターギャラリーと東京シティビューを舞台に、かつてない規模で開催される。日本の文化と新たなつながりを生み出すことも目指し、会場では、建築家の田根剛率いるATTAの空間デザインにより、le19Mのメゾンダールが誇る独自のノウハウを紹介するほか、メゾンダールと日本の職人技の卓越したクリエイションを紹介するグループ展も行われる。詳細はニュースをチェック。
会場:森アーツセンターギャラリー、東京シティビュー
会期:9月30日〜10月20日